能登和倉万葉の里マラソン2012(石川県七尾市)
◆ぬキラン以前の過去記事です◆
能登和倉万葉の里マラソン(フル)に参加してきました。
ちょうど1年前の3月11日。東日本大震災が発生し、甚大な被害が発生しました。まだまだ復旧も途上というところですが、思い出すのは1年前です。地震発生後、日本全国で自粛ムードに包まれ、マラソン大会をはじめ色々なイベントが軒並み中止となりました。この大会も、地震発生2日後に開催を予定しており、中止も検討されたかと思いますが、「東北地方太平洋沖地震復興祈念マラソン」として開催されました。当然に中止すべきというクレームは入ったでしょうし、実際に走ったランナーもこのような状況で走っていていいのかと自問しながら参加することになったことでしょう。しかし、この大会が能登半島地震復興事業として始まった大会であったことも、開催を行う後押しになったと考えます。
そのような経緯があって開催されたこの大会、どうしても出たいと思いました。せっかくなので、この大会で初サブ4を達成したい。いや、達成すると息巻いて能登に向かいました。当初は家族旅行で行く予定だったんですが、急遽子供の予定が入ってしまい、単身で乗り込むことになりました(その穴埋めとして、先週の三浦が家族旅行に変更となったわけなのです)。
前日に高速バスにて金沢まで行き、そこで一泊。翌朝、和倉温泉へと乗り込みました。当初の天気予報は雪の確率が70パーセントとひどい状況でしたが、能登は雪など全然残ってはおらず、天気も持っている感じ。それでもスタート前は雨が降ったりして、嫌な感じ満載でしたが、スタート時にはきっちりと晴れ上がり、絶好のマラソン日和。
コースがきついのは重々承知の上、サブ4を目指してスタートしました。
【スタート~5キロ 26'58】
0'35"-5'33"-5'10"-5'18"-5'17"-4'54"
スタートはブロック分けされており、前から3番目のブロックからスタートすることができました。きっと、申告タイムを盛りすぎたのでしょう。今となっては、どのくらいのタイムで申告したのか思い出せません。やっぱり、3時間半くらいだったのかな。それもこれもつくばの前にエントリーしたので、勘弁してもらいたいところです。
とはいえ、その恩恵も預り、スタートロスは30秒ちょっとだけ。その後も渋滞に悩んだという覚えがないまま走り始めることができました。
走り始めて早々に、何かものすごい違和感。気がつくとタイツがズルズルと下に落ちていっているご様子。あっ、きっとしっかり結べてなかったんだ。でも、なおそうにも結構下がっちゃったから、不審者にならないとダメだ。ということで、トイレがあったら駆け込む感じで5キロを過ぎていきました。
そんな状況で渡った能登島大橋。意識が違うところに集中していたために、全然周りの景色など見ることができず、今考えれば、非常に残念な感じです。あー。ちなみに、前年の様子だとこんな感じとのこと。半端ねぇ。
このコースの特徴の一つとして、坂道を丁寧にカウントしてくれているというものがあります。「登り坂 3/10 930m」みたいな感じで、長さも表示してくれてるので、どのくらい上りが続くのか把握できるのが、なんともいい感じです。
でも、中にカウントしてくれない上り坂が結構あるのが、難と言えば難なんですけどね。十分登ってるでしょ、これ!みたいな感じで。
【5キロ~10キロ 26'35"】
6'17"-5'02"-4'47"-5'04"-4'57"
5キロ過ぎのトイレに入って、ようやく違和感脱却。1分ほどロスしましたが、以降気持ちよく走れることを考えれば全然OKでしょ。
5キロから結構な坂道が続いていたけれど、坂道は先週の三浦での対策の甲斐もあって全然問題なし。前述のとおりどのくらい続くかもわかるので、気持ち的にもすごく楽ができたというのも大きかったと思います。
【10キロ~15キロ 25'53"】
5'04"-5'09"-5'33"-4'49"-4'59"
10キロ手前で折り返し。上りは多少頑張るものの、下りは絶対に頑張らないように気を付けました。先週の三浦で気が付けば4分台前半を走っていたように、意識しないでもスピードアップしてしまい、脚の負担も結構かかってしまうので、そこは意識的に抑えました。
それにしても、この区間はこのレースほぼ唯一といっていい折り返し区間だったんですが、最後を走るランナーの後ろに収容車が付いてきている光景は、なかなか世知辛いものを感じました。切ないねぇ。
【15キロ~20キロ 26'05"】
5'15"-5'16"-4'50"-5'09"-5'29"
能登島にいる間は結構晴れ間が広がっていて、暑ささえも感じるくらいでした。
スタート前、寒さ防止と雨対策のために透明のゴミ袋を頭っからかぶって走っていたんですが、これも脱いじゃおうと思うくらいに。でも、捨て場所がいまいちよくわからなかったので、なんとなく、そのままにしていました。シャリシャリうるさいし、迷惑だなぁと思いつつ。
ま、そのおかげで向かい風が来たときは全然寒さも感じませんでした。捨てなかったこの判断が、今後の走りに影響をもたらすとも分からずに。
それにしても能登島に入って以降、アップダウンが続くものの、ものすごく楽しい。ヘラヘラしながら、楽しんで走っていました。
この時は。
【20キロ~25キロ 26'40"】
5'22"-5'18"-5'17"-5'34"-5'02"
このレースにはご当地エイドなるものがありまして、22キロ過ぎに菜っぱめしとぶりフレークのおにぎりが、25キロ過ぎに能登マ丼なる牡蠣のどんぶりが、35キロ過ぎには、カニかまで有名なスギヨの焼きちくわが振舞われます。
それら全部楽しんでやるとぞ意気込んで、早速おにぎりエイドに突入。でも、手前のテーブルが鬼のように混んでる。…全く。エイドは手前ばっかり人が集って、後ろの方がすいてるんだよねー、と華麗にスルーしたら、おにぎりは一番手前のテーブルにしか置いてありませんでした。
なるほど、だから混んでたのね。って、オレ喰えないじゃん!!泣く泣く、オニギリは諦めて、並びで配っていたあんぱんを美味しくいただきました。
22キロ過ぎ。能登島に別れを告げる、ツインブリッジのとにやってきました。下の写真はもちろんレース中のものではありません。
アップダウンこそあったものの、実に楽しかった能登島。別れを告げるのに寂しさことあったものの、あとは平坦じゃね?じゃ、このあと楽になるんじゃね?と過大なる期待をもって渡り始めたんですが…
風が強すぎる。全然前に進まない。荒川河川敷を主戦場にしているだけに、風が強いのには慣れていますが、そんなの比較にならないくらいに強すぎる。ま、海の上だから仕方ない。とりあえず橋を渡ってしまえば、あとはなんとかなるさ。
そんなことを思っていたときもありました。
なんとかツインブリッジのとをわたりきったあとに待ち構えていたのは、9/10の登り坂。いや、後で聞いた話なんですが、ここ、登り坂じゃなくて登り山って表示されていたらしいんですよね。
ひどすぎる。
周りが当たり前のように歩く中、ここは気合を入れて走りました。走りましたが…。
【25キロ~30キロ 28'51"】
5'42"-5'21"-5'46"-5'40"-6'01"
あのね。ツインブリッジを過ぎたあとも逆風が全然収まらないの。それが真向かいからの風だったりとか、横風だったりとか、方向は変わるけれど、走る上で支障にしかならないのに変わりないの。
能登マ丼のエイドに来たときも、前に食べたあんぱんのせいなのか、逆風の中頑張りすぎたせいなのか、胃がムカムカしてしまっていて、華麗にスルー。
あぁ、俺は何のために走っているのだろうか。
気が付けば、晴れ間は完全に消え失せ、目の前に広がる七尾湾の波は風に煽られて怖い怖い。そうじゃなくても、ペースが落ちてしまうこのタイミングでこんな状況に陥ってしまうものだから、やる気もダウン。
果たしていつまで続くのか、この逆風地獄。でも、確かに起伏は登り山を越えて以降は面倒くさいのはなくなりました。その点だけはプラスなんだけどねぇ。辛い。
【30キロ~35キロ 30'29"】
5'57"-5'52"-5'54"-6'06"-6'16"
この頃になってくると、もはや早く距離が過ぎてくんないかなぁと、そんなことを祈るのみ。できることなら、瞬きしている間に5キロくらい過ぎててくんないかなぁと、そんなことばっかり思っていました。
で、考えて実行したのは死んだフリ作戦。できるだけ意識を飛ばして、心を無にする。後続から抜かれても気にしない。歩いている人を見ても羨ましがらない。ラップタイムはともかく、走ってる間のペースも気にしない。前を見るとゴール地点が遠くに見えちゃうだけに、できるだけ足元ばっかり見る。当然に応援にも応えられないし、エイドも直前まで来ないと気がつかないしで、難点もあるわけですが、逆風に対しては多少は気にならなくなった気がしました。
なによりも初フルのつくばの反省から、ちょっとでも足を止めたら再び走り始めることができないかもしれない、という恐怖から、なにがなんでもノンストップで走り続けました。
そんな中でも35キロの焼きちくわエイドだけはしっかりといただきました。3つもスルーしてしまったご当地エイド。最後の砦となった焼きちくわだけは、何がなんでも逃すわけにはいかないのです。
輪切りにされた焼きちくわ。口にほおばり、もぐもぐ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
…無理。これは無理。この焼きちくわ。本物のイイものすぎて、粘着感が違います。そのおかげで全然喉を通りません。申し訳ない気持ちをかなり感じつつ、手に吐き出して、ゴミ箱に捨てさせてもらいました。
いや、ほんと、申し訳ないです。
【35キロ~40キロ 30'44"】
6'07"-6'06"-6'02"-6'04"-6'05"
こうしてみると、遅め安定ですね。でも、実は38キロ辺りから奇跡的に状況は良くなっています。というのも、我々を苦しめ続けてきた逆風がついに追い風に変わってくれたのです。
あー、もう楽だ。このまま最後まで行ってくれれば、サブ4余裕だ。
そんなことを思い、でも、いつ足が止まるかわからないという恐怖心を抱えつつ、死んだフリ作戦をやめて、残り時間と残り距離を思いっきり計算しながら走っていました。
【40キロ~ラスト 13'49"】
6'31"-6'06"-3'34"
5キロごとのラップは、記録賞にスプリットとして書いてあるものを記載してますが、1キロごとのラップはガーミンで記録したものを書いています。ガーミン的には42.64キロを走ってるだけに、最後のラップがおかしいことは気にしないでください。
それはさておき、ラスト。残り1キロの時点で3時間50分だったので、最悪歩いてでもサブ4だなとようやく安心感に包まれました。
その時になって、ようやく身に付けていたゴミ袋を外したのです。今、考えれば、このゴミ袋がなければ、逆風地獄に耐えられたのか、かなり疑問です。こいつがいてくれたおかげで、逆風を受け続けても体が冷えることなく、バサバサとうるさい音を延々と耳にしつつも、体を温め続けてくれた。もはや、感謝の気持ちしかありません。
しかし、その行為をお天道様は見ていたのでしょう。ゴミ袋を破り、ぐしゃぐしゃっと手にした途端に、雨が降り始めてきました。
何たること。
ゴミ袋様には感謝の気持ちしかなかったけれど、ゴールの写真の時に、ゴミ袋をかぶった姿で写真を撮られるのが嫌だなぁと、そんなことを思った私の気持ちを読んだのですか。
ま、そんなどうでもいいことはどうでもいいこととして、残り1キロ、温泉街をくねくねしながら、なかなかゴールが見えねぇなぁとキョロキョロしつつ、ようやくおわるという充実感に包まれて、走らせてもらいました。
【タイム 3時間56分04秒】
ひとまず、念願のサブ4を達成しました。
後半は苦しい思いしかしてなかったし、ご当地エイドを全然楽しめなかったしで、反省材料はありますが、ゴールタイムですべて満足しました。ありがとうございました。
ゴール後は有名な和倉温泉で体を温め、参加賞でもあるカキ鍋、焼き牡蠣をほおばりました。
焼き牡蠣を食べたのは生まれて初めてだったんですが、そのあまりのおいしさに別途お金を払って追加で焼いてしまうほどでした。
気がつくと、外は吹雪。この状況でもまだまだ走ってる人が沢山いて、うわぁ、大変だなぁと。
制限時間が7時間だから初心者に安心とか書いてあったけれど、それを真に受けた人は二度とマラソンなんて走らないだろうなぁと、そんなことを思えるほど後半はひどい状況になっていたようです。逆風に加えて雨、雪、霰。走ることができずに歩き続ける体にそんなものを受け続けながら、リタイヤすることなくゴールしたみなさんに心から拍手です。